畳替え(畳の張替え)とは

畳替え(畳の張替え)は、大きく分けると「裏返し」「表替え」「新畳」の3つがあります。
快適に長く使っていただくためには、それぞれ適切な時期があります。

新畳
畳床・畳表・畳縁のすべてを新しくします。
同じ大きさに仕上げるため、事前に寸法を測ります。
凹みが酷くなったり、明らかにヘタって弾力が無くなってきたら新畳の時期です。
もちろん、シロアリや腐食、カビ、ダニの被害のひどい場合も、新畳に交換してください。

畳床の種類や部屋の使用頻度などにもよりますが、畳床を新しくしてから10~20年が目安です。

表替え
古くなった畳表をはがし、新しいものを畳床に付けます。
この場合、畳床はそのまま使用し、畳表と畳縁は新しくなります。
畳表の毛羽立ちが酷くなったり、擦り切れが目立ってきた、折り目に隙間ができたり、経糸が見えるなどの症状が出ると、表替えの時期です。

畳表の品質や部屋の使用頻度にもよりますが、通常、裏返しから5年が目安です。
ただし、畳床が傷んでいる場合は、新畳に交換となります。

裏返し
畳表は表裏の両面使用できるので、使用していた畳表をはがし、それを裏返してまた付けます。
この場合、畳床と畳表はそのまま使用し、畳縁のみ新しくします。
裏面がきれいなうちに裏返しをすることにより、一枚の畳表をきれいに長くご使用頂けますが、擦り切れが酷かったり、糸が切れていたり、目立つ染みがある場合の裏返しはお勧めできません。

部屋の使用頻度などにもよりますが、通常は表替え・新畳から3~5年が目安です。

製作工程・敷き方

畳替えの仕様が決まりましたら、
以下のような順で施工してまいります。

採寸
(新規で畳を製作する場合)
新規の畳を制作するには、新築の場合も取り替えの場合も部屋の採寸から始まります。
新築の場合、お部屋の床の間や入り口の取り付けを見て畳の敷き方を決めます。
当社では昔から伝わる「割本法」と言う採寸法で測りますが、部屋の対角線の差を求め、四辺の長さを測ります。

そして対角線の差と対辺の差から「カネ」(直角)を割り出します。
畳寄せ等和室の「辺」は真っ直ぐではありませんから、割り出した値に基づき糸を張り「辺」の凸凹を測定してきます。
床柱や目付柱がある時はその位置も測定します。
この測定した値に基づき、工場で新規畳を作製し後ほどお部屋に敷き込みます。

畳の引き取り
(張り替えを施工する時)

張り替え(表替え、裏返し)は、基本的に当日朝引き取り、夕方納品で施工いたします。
長い間ご使用された畳は、「凸凹」ができたり寸法が「あまく」なったりしています。
ですから、当社では畳を引き取る際に、畳の寸法を適切に直すために必要な「チェック」をしてきます。
ここでの情報収集が畳替えの「出来映え」に反映してきますので大切な作業です。
以上の現場での「チェック」を終えたら、いよいよ自動車に積み込み工場へ運び出します。

工場での畳の製作手順
新規畳の場合

部屋を採寸した製図を基に、畳床を割り付けた寸法に切断します。

張り替えの場合

運び出した畳を作業台に移します。
そして、既存の畳表と畳縁を外します。
畳床が裸になりますので凸凹の調整や寸法の調整を行います。

寸法の調整

畳の「丈」の寸法は畳床にゴザやわらを縫い付けて調整します。
畳の「巾」の寸法は現場で測定してきた寸法に仕上げます。

新しい畳表張り

框逢着機により、畳表を適切に張り逢着します。
その後、畳表の巾寸法を決めます。

霧水を吹く

畳表の逢着が終わったら、畳表の表面全体に「霧水」を噴霧します。これは畳表の「折りシワ」を消し、「草をもどす」ために必要な工程です。
当社では噴霧器を使用しておりますから衛生的です。

畳縁の逢着

畳表の逢着を終えた畳は、畳縁を逢着する両用機に移します。
まず、畳縁を畳床に逢着します。この工程を「平刺し」と言います。このときに畳縁の内側に「縁下紙」を一緒に縫い込みます。
これは畳縁をしっかりとさせるために必要です。

畳縁を折り返す

「平刺し」を終えたら縁幅を均等にするために「渡り線」を引きます。
そして「渡り線」から畳縁を折り返し角を作ります。

返し縫い

「平刺し」を終え畳縁を返したら、畳床の側面から畳縁を逢着し綴じます。
これを「返し縫い」と言います。
両方の畳縁を逢着したら完成です。

畳の納品

新しくなった畳は、「霧水」がよく乾いてから納品に伺います。
畳を元あった位置に敷き「段差」等の細かな調整を済ませたら、移動させた家具を元の位置に戻します。
以上で畳の施工の完了となります。

朝畳を引き取ってから納品まで、お客様にはお買い物に出かけるなど留守にしていただいても大丈夫です。
例えば、お年寄りのいるご家庭など、「デイサービス」の間の施工も可能です。

畳表について

畳表とは、イ草または七島い(しちとうい)の茎を乾燥させて織ったござで、様々な織り方があります。

イ草を緯糸(よこいと)、麻糸か綿糸を経糸(たていと)にして織り上げますが、ほとんどは一目の中に経糸を2本ずつ織り込んだ引き通し表と言われる織り方です。また縁無し畳には、一目に経糸を1本ずつ織り込んだ目積表(めせきおもて)という織り方のものもあります。

畳表の織り方には、引き通し・目積織・諸目織・大目織・綾織の5種類があります。

引き通しとは一目に経糸が2~4本入っていて通常住宅等で使用される畳表です。

目積織とは経糸が一目に1本で目が詰まっていて琉球表に使われています。
一目の幅が狭い為、縁無畳に多く使用されています。

諸目織とは一目に経糸が2本入ってますが引き通し織よりも一目の幅が細くなっています。
量販店様に販売している上敷き等でよく目にします。

大目織とは経糸は2本ですが一目の幅が広く床の間用の表(龍鬢表)に使われています。

綾織とは、経糸が横糸の上に2本、横糸の下に1本交差されて織られている表で縁無畳に使われています。

畳表の違い
国産表
全国十数か所で生産されており、色調、光沢、地合いそれぞれ地方によって様々です。中国産に比べ自然な色合いでイ草にねばりがあり耐久性があります。価格は中国産より高くなりますが、普及品から特選品まで豊富にそろっています。
中国表
国内消費価量の約8割を占める外国産畳表です。価格が安いことから急速に使われるようになりました。全体的な品質は中~下物が中心で、集合住宅や賃貸住宅等に多く使用されています。国内産とのイ草の取り扱いの差などから耐久性は低く、色合いを統一するためにほとんどの畳表に着色料が使われており、自然の風合いに欠ける物になっています。しかし近年では、日本のイ草を中国に運び栽培、日本の企業の技術指導により上質な畳表も作られるようになってきています。
化学表
天然のイ草を使用せず、全くの新素材を使って畳表風に仕上げた製品です。原料はメーカーによって様々ですが、天然の和紙やポリプロピレンを原料としているものもあります。従来のイ草畳表にくらべ耐久性が有り、変色もほとんどなくダニやカビの発生も抑えます。また工業製品であるため商品ごとのバラつきがなく常に安定した品質と価格を提供できます。ただ天然のイ草畳表に比べ自然な風合いや色合いに乏しく特有の香りもありません。また価格の面でも割高になります。

経糸の種類

経糸の種類は、大きく4種類に分けられます。

麻四芯表(麻麻W表)
経糸が麻糸二本づつ(計四本)で織られており、畳表の中でも高級品のものにしか使用使用されていません。
糸二芯表や麻二芯表とは違って経糸が麻と糸の四本芯なので、かなり多くのイ草が織り込め、重量感もあり、かなり厚手の畳表です。イ草の本数は約7,000本。

麻綿四芯表(麻綿W表)
経糸が麻と綿で織られている畳表で、下級品から上級品まで幅広く、イ草の質や織り方によって価格評価も様々です。
上級品になると良質のイ草のみが使用され色合いもよく上品な美しさがあり耐久性もありますが、下級品に至っては糸引き表の上級品にも劣るものもあります。
イ草の本数は約5,000本。

麻二芯(麻引き表)
経糸が麻糸で織られている畳表。綿に比べ耐久性に優れ比較的良品が多く、国産表によく見られます。
イ草の本数は約6,000本。

綿々4芯表(綿々W表)綿二芯(糸引き表)
経糸が綿糸で織られている畳表。経糸が綿のため伸縮性が高く切れ易いため、イ草をあまり織り込めず目詰まり感が少ない。その分イ草特有の効能も少なく耐久性も低いのが特徴です。主に低~中級品に多く使われています。
イ草の本数は約4,000本。

畳縁の種類と選び方

畳と畳床を美しく丈夫につなぐために活躍している畳縁。
普段はあまり気にしないことが多いかもしれませんが、実はその部屋のイメージに大きな影響を与えています…。 というと、「そういえば…!」と頷いてしまいませんか?

最近は、すだれ風や自然素材のロールスクリーンなど畳の部屋にも良く合う窓辺のインテリアが増えてきました。
こうしたお部屋の色調に畳縁も合わせ、居心地の良い居住空間を創造してみてはいかがでしょうか。

畳床について

以前は畳床=稲わらとされてきましたが、近年では様々な材質の畳床が作られています。

代表的には3種類。全てを稲わらで作った「わら床」。稲わらを上下層に、中層にポリスチレンフォームを挟んだ「わらサンドイッチ畳床」。稲わらを全く使わない「建材床」があります。そのほかにも特殊なものもありますが、基本はこの三種類です。

畳床の種類
わら床
わら100%の畳床です。足あたりの感触がが良く、弾力性もあり、素材そのものの重量感があります。断熱効果、保温効果、耐久性に優れています。

わらサンドイッチ畳床
わらとポリスチレンフォームのサンドイッチ構造です。わら床のクッション性とポリスチレンフォームの断熱性、そして、軽量化の長所を合わせもった畳床です。吸放性、断熱性、耐久性に優れています。

建材畳床1型
畳ボードのみで構成された畳床。畳ボードだけで構成される為、耐久性に優れ畳床への負荷が大きいところに有効的です。

建材畳床2型
畳ボードとポリスチレンフォームの二層構造になっています。建材畳床の中ではもっとも軽量で、下層にポリスチレンフォームを配置する為、コンクリートの直敷きなどに適しています。

建材畳床3型
畳ボードでポリスチレンフォームを挟んだサンドイッチ構造となっています。湿気などにも強く、ダニ、カビ、害虫も発生しにくくなっている為お勧めするタイプです